野生の王国。

根を詰めて描いてきた単行本仕事が一段落したので、昨夜は久しぶりに「ミスター・デンジャー」さんで食事をしてきた。メンバーの中で飲酒をするのが俺ひとりという状況もあって早々に解散、午後九時頃には自宅最寄りの某駅まで戻っていた。

その帰路でのことである。商店街を抜けて住宅街へ入ったあたりで、目の前の路地に何かが飛び出してきた。薄暗い中でおぼろげに見えるそれはネコほどの大きさだが、妙に細長くて腰の高いシルエットと、若干飛び跳ねるような(空中から糸で吊られたような)身のこなしに違和感がある。路地を横断した生き物は民家の玄関先まで侵入して立ち止まったのだが、改めてその姿を見た俺は思わず声を上げてしまった。

「…あ、ハクビシンだ!」

ハクビシン 世田谷

ここは都内世田谷区。「野生化したハクビシンがうろちょろしているらしい」という話は近所でよく聞くし、夜道でそれらしき影を見たこともあるが、ここまでハッキリと姿を目にしたのは初めてのことだ。

近くには大きなお寺や公園があり、23区内でも比較的緑の多い地域ではある。暖かくなるとニホントカゲやカナヘビ、ヒキガエル、ヤマカガシ、ヤモリなどが当たり前のように見られるし、ポイントさえ押さえれば徒歩圏内でコクワガタやカブトムシを捕獲することもできる。都市部の中の、ちょっとした野生の王国という趣である。

閑静な住宅街ということもあって、動物が密かに暮らすには向いている土地かもしれない。とはいえ、あれほどのサイズの野生動物が生息しているとは驚くべき事実だ。ハクビシンって、いきなり出てくるとビックリするくらいデカいからね。ネコだと思って見過ごしている人も多いと思うけど。

今年の三月には、こんな出来事もあった。近所のファミレスで独り飲酒をした帰り道、深夜の歩道上に奇妙な物体が転がっているのを発見した。何かと思って近付いてみると…

タヌキ 世田谷

これがタヌキの死体だったんだよなあ。体毛がフサフサしているので一瞬愛玩犬かと思ったが、こんなワイルドな生き物が座敷にいたらエライことである。口元から出血が見られるが、すぐ脇の車道で自動車にはねられたと見るのが適当だろう。

近所にタヌキが棲んでいることも知っていたし、実際に自宅ベランダから親子連れの彼らを観察したこともあるが、やはり間近に見るとその迫力に思わず息を呑んでしまう。

陽が昇る頃になって人々の好奇の目に晒されたり、或はカラスに突かれたりしたのでは気の毒だろうと、帰宅してすぐ110番通報して死体を処理するようお願いした(保健所はとっくに閉まっているので)。どうしても気になって30分後に現場へ戻ると、残っているのは僅かな血痕だけだった。「今頃、警察署ではタヌキ鍋パーティかな」なんてなことも想像したが、タヌキの肉は非常に獣臭くて、かなりの物好きでも滅多に口にしないという(一般にタヌキ鍋と呼ばれるものは、実はアナグマの肉を使っていることが多いと聞いたことがある)。

こういった出来事が続いたので、個人的に彼らの生活や習性が気になって仕方がない今日この頃。実際、どのくらいの個体数が近所に潜んでいるのだろうか。そもそも何処に隠れて暮らしているのか。謎は深まるばかりだ。

まあ、逞しい連中ではある。個人的に、彼らから学ぶべきことは非常に多い…気がする。


[イラスト、デザイン][日常]
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「ステーキジャック」さん。

先日ステーキハウスの「ミスターデンジャー」さんを訪れた話を書いたが、その頃痛んでいた親知らずが落ち着いてきて、改めてデンジャー系の肉を口にしたくなった。そこで予てから訪問すべきと思っていた中野区の「ステーキジャック」さんへ足を運ぶことにした。

「ステーキジャック」オーナーのMさんは、「デンジャー」本店の松永さんに弟子入りし、ステーキのノウハウを徹底的に叩き込まれた人物。師匠のご縁からイベント会場などでご挨拶したことがあり、オリジナル企画『悪魔のハンバーグ』のフライヤーを描かせて頂いたこともあった(制限時間内に完食すれば賞金が出るという激辛ハンバーグ。あまりにの強烈さに救急車が出動したという噂あり)。

それでいて、肝心のステーキをまだ味わっていないというのはバチ当たりにも程がある。お店の近くに住んでいるという編集者M嬢(Mばっか)に同行を願い、ランチタイムに間に合わせるべく都営大江戸線に飛び乗ったのであった。

新江古田
↑ 「ステーキジャック」さん最寄りの大江戸線新江古田駅。汗をかきながら一生懸命ティッシュ配りをしている不動産屋のあんちゃんはともかく、ご注目頂きたいのは「egota」というローマ字表記。えっ、「えこだ」じゃないの? 遅れて地上に上がってきたM嬢、開口一番「ねえ、知ってた? えごた、なんだね!」…調べたところ、練馬区エリアは「えこだ」、中野区エリアは「えごた」と読み分けているらしい。ああ、ややこしい…国境のない世界を想像した、ジョン・レノンの気持ちが分かろうというものである。

駅から出て角を曲がると、いきなり目に飛び込む「ステーキジャック」の看板。餓えた狼のように猛ダッシュする我々。ところが休日の昼時ということで店内は親子連れなどで混み合っており、しばらくの間店の外で待機することに。地元に根付いた人気店であることが伺えますな。

順番待ちの間、ふと思った。「ステーキ…ジャック…ジャックって何だろう?」。Jackというのは一般に人名であるが、オーナーのMさんはJackさんではない(そういう顔もしていない)。乗っ取り犯を意味するハイジャックになぞらえたのかもしれないが、○○ジャックという表現は実は日本に固有のものである。ハイジャックのスペルはHi-Jackが正しく、決してHigh-Jackではない。高所を飛ぶ旅客機を乗っ取るからHighだと勘違いした日本人が、シージャックだとか電波ジャックだとかいう頓珍漢な和製英語を大量生産してしまったのだ。Jackは英語圏の一般的な男性名で、「ハーイ、ジャック!」と犯人たちが人質に呼びかける様子が本来の語源なのである(ちなみに大橋巨泉の場合は「ヘイ、ジャック!」)。

「蘊蓄はいいから、早くステーキを食え」という声が聞こえそうなので、空いているカウンター席に突入(後にテーブル席へ移動)。一見落ち着いているように思える店内はよく見るとかなり賑やかで、アンティークなポスターやプロレスグッズ、アメコミ系のおもちゃなどで壁という壁が埋め尽くされている。こういった遊び心は、恐らく師匠の松永さんから伝授されたものだろう。

ネクロ・ブッチャー
↑何か視線を感じると思ったら「ドージョーアッパレ」の販促グッズ、ネクロ・ブッチャーさんのサイン入りポートレイトが。そろそろ会いたいよな、ネクロさん。

ステーキジャック
↑小食の当方が注文したのは、ランチステーキの小セット(ライス、スープ、ドリンク付きで計1,000円)。見た目はやや大人しいが、小柄な男性や女性には十分な量である。

ガーリック(無料トッピング)の香りに刺激されて早速「いただきま-す」。箸で切れる肉の柔らかさにM嬢もびっくり。「どんなものか分からなかったけど、これは美味しいね! また来るよ、ここ」と最初の一口で再訪問決定。個人的には「デンジャー」さんよりも若干さっぱりした味に思えて、新たなバリエーションを得た喜びを感じた。あまりにもノッてしまい、ヱビスビールのジョッキ(350円!)を二杯頂くことに。ええ、昼間から。知ったことか。

ステーキジャック
↑残念ながらオーナーのMさんはご不在。服部先生、デンジャー氏と並んだ写真を見て「ああ、やっぱりお弟子さんって感じがする。身体が大きいし、顔立ちもそれっぽいし…」とM嬢。あのね、違うんだ、プロレスを教わったわけじゃないんだよ(本気で勘違いしていた様子)。ちなみに画像左のイラストは、当方の手による「デンジャー」本店さんの年賀状。とても飲食店のものとは思えない血みどろっぷり。

新宿から大江戸線で僅か15分、美味いステーキを食べにみんなも「えごた」へ行かないか? 個人的にも近いうちの再訪問を心に決めているので、我こそはという方は是非声をかけてください。この夏は体重増やすぞ!(←体力無いからさ…)

☆「ステーキジャック」
〒165-0023 東京都中野区江原町3-39-4
都営大江戸線新江古田駅 A2番出口 徒歩1分
西武池袋線江古田駅 南口 徒歩4分
http://r.gnavi.co.jp/p843400/


[飲食][日常]

激闘、松井大二郎選手。

"炎のグラップラー"ことプロレスラー松井大二郎さんが出場する総合格闘技大会『DEEP TOKYO IMPACT 2』を観戦すべく、昨日は歌舞伎町の新宿FACEまでスッ飛んできた。

初期「PRIDE」のリングで体重差をものともせず幾多の強豪たちと拳を交えてきた松井さんは、現在に至る総合格闘技の礎を作ってきた重要人物のひとりである。当方とはTシャツや横断幕のデザイン等をご依頼頂いたことでご縁があり、同世代ということから試合を通じて多くの勇気や気合いを頂戴している。

今回の対戦相手は、和術慧舟會東京本部に所属する尾崎広紀選手。HERO'Sなどに出場経験があるそうで、戦績を見ると勝つ時は関節技でしっかり一本を取っている。実に手強い寝技師と見たが…。

松井大二郎選手
↑松井さんのマネージャーK氏と共に会場入り、西側の壁面に横断幕を設置。高所での作業ということで会場から脚立をお借りしたが、「新宿FACEでラダーに登る」というハードコアな体験はなかなか気分が良かった。

松井大二郎選手
↑次々と繰り広げられた熱戦も最後の一番、メインエベントのリングに向かう松井大二郎さんの勇姿。これから命懸けの闘いに臨まんとする漢の表情、少なくとも鏡の中で見たことはない。

松井大二郎選手
↑84.4キログラムで計量をクリアーした松井さん、試合開始早々素早いハイキックを披露。ネコ科の野生動物を思わせるしなやかさと敏捷さである。

松井大二郎選手
↑尾崎選手の狙いはやはり寝技か。しつこく密着してくる相手の動きをチェスのように先読みして、冷静に対処していく松井さん。緻密な攻防を眺めているうちに、つい呼吸を忘れそうになる(俺、唇が紫色になってたんじゃねえかなあ)。

松井大二郎選手
↑素人目には最大のチャンスと映った、ラストラウンドでのマウントポジション。時にボトムロープの位置を有効利用して、決定打を与えさせない尾崎選手が実にニクい。この攻防により、ジャッジの印象は大きく松井さんに傾くと期待したが…。

松井大二郎選手
↑5分2Rの熱戦、判定は1-1。ルール上延長戦はないようで、試合結果はドローと発表された。終了ゴング直後は「松井さん、勝ったな!?」と思ったのだが、専門家の目には判断の微妙な攻防だったのかもしれない。このブログ的には、セコンド氏のTシャツにも是非ご注目頂きたいところである。

松井大二郎選手
↑リングを下りた松井さん、鍛え込まれたこの背中はどうですか。ナントカ筋とかカントカ筋の充実度が実に見事である。逆の立場で考えてみれば、こんな肉体の持ち主が本気で殴り倒しにくるのだから、対戦相手も相当な度胸と修練を必要とするはず。プロの闘い、震えるほどに迫力満点でしたよ。

試合前、「『今日は人と殴り合いをするんだ』と思いながら朝起きることなんて、僕らの人生には絶対ないですからね。格闘家の皆さんの度胸や緊張感はやはり尊敬の対象ですよ」と言ったら、マネージャーのK氏は「なるほど、そうですね」と納得しながらやはり笑っていた。

ある試合では、膠着状態になった選手に対して「お前、それでいいのか!? 後悔しないのか!?」とセコンドが檄を飛ばしていた。

格闘技から得られる刺激って、本当にストレートなんだよな。日頃理屈っぽい俺でも「理屈じゃないんだ!」と感激するくらいで。いやはや、今回も骨の髄からシビレさせて頂きました…。


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